高知県IT・コンテンツアカデミー

IT・コンテンツビジネス入門@高知大学。オンラインで「kintone(キントーン)」を学ぶ!

time 2020/11/06

IT・コンテンツビジネス入門@高知大学。オンラインで「kintone(キントーン)」を学ぶ!

IT・コンテンツアカデミーでは、昨年に引き続き、高知大学と高知工科大学において、IT・コンテンツビジネスの最前線で活躍中の方々を講師にお迎えし、最先端ビジネスの知識・技術を学ぶ講座を開催しています。10月15日、サイボウズ株式会社 社長室 ビジネスプロデューサーの中村龍太氏が高知大学人文社会科学部の学生を対象に、「サイボウズ「キントーン」によるノンコードプログラミングツールと活用事例」と題したオンライン講座を行いました。

参加したのは、人文社会学科の2年生から4年生までの65人。直感的な操作で誰でも簡単にアプリを作ることができる「ノンコードプログラミング」について学び、実際にワークを行って理解を深めました。文系人材が活躍するIoT社会とは?

「いつもは高知大学に足を運ぶんですが‥‥」と始まった、サイボウズの中村龍太氏による講座。今回は、初めてのオンライン講座となりました。

まずは、龍太氏(本人の希望により名前で記載)の自己紹介と、サイボウズの会社紹介から。

龍太氏は、「週に4日しか働かない正社員」で、あとの3日は研修や農業を生業とする個人事業主として働いています。新しい働き方を実践する「複業家」として、メディアから注目されています。

龍太氏が7年前に入社したサイボウズは、中小企業では大きなシェアを持っているグループウェアを開発している会社で、チームワークあふれる社会を創ることを目的とし、チームワークを強化するメソッドや研修事業も行っています。

「現在、日本橋のオフィスにいますが、もともと500人くらいいるはずですが、周りを見渡して出社しているのは10人ほどです」と、ここではすでに「新しい働き方」が実践されています。

講座のはじまりは、「情報共有」の意味について。

最初に情報伝達と情報共有の違いを知り、その概念を共有しました。

そしていよいよ、本日の学習のメイン、情報共有を軸とする「kintone」について。
メルカリ、ソフトバンク、日産、ANAなど16,000社が導入している業務アプリ作成プラットフォームで、顧客管理、案件管理、クレーム管理などに活用され、マウス操作だけで自由にアプリを作ることができます。最近、ノンコードの市場はますます拡大しており、競合する企業の参入も増えて、ますます発展が期待されている分野です。

★kintoneの3つの要素
①データベース機能…絞り込みやグラフ化が簡単にできる
②データ入力後のプロセス管理が可能‥‥ワークフロー作成と進捗状況の把握ができる
③データに紐づくコミュニケーションの履歴を蓄積…確認やタスクの引継ぎがスムーズ
※特に、③は利用する会社・企業の中で評価が高い

次は、実際にアプリを考えるワークです。

最初に、アンケートを行うための設問を考えるところから。
設問は3つ。答えを二者択一で選ぶもの、複数の選択肢の中から複数を選択するもの、複数の選択肢の中から一つを選ぶものの、3種類の設問を考えます。

次に、この設問を使って、簡単なアプリを作ります。龍太氏が実際にkintoneの操作を画面共有し、「アンケートアプリ」の作り方を説明しながら作成していきます。

左側に並ぶ部品の中から必要なものを選び、右側のパレットの上にドラッグ&ドロップして構成していきます。

ドロップしたパーツに、質問項目と答えの項目を入力すればアンケートアプリのできあがり。フォームを保存し、公開すれば運用開始となります。

実際に、学生たちもkintoneのプラットフォームにログインし、アプリの作成を開始。
しかし、シンと静まりかえるzoomの画面に、「レスポンスがない人に向かって話すのは不安だなぁ」と龍太氏。コミュニケションツールを立ち上げ、「ログインできた人は、『ログインできました』ってコメントしてください」と声をかけると、次々にコメントが入ってきました。

学生たちが作成したアンケートアプリがプラットフォームにアップされ、龍太氏がそのアンケートに答えると、そのデータが「レコード」として記録されます。次々にアンケートに答えながら、「みなさんも、ほかの人が作ったアンケートに答えてください」と龍太氏から呼びかけ。

それぞれアプリを開いてアンケートに回答し、それがレコードとして記録され、複数集まることで有効なマーケティングデータとなることを実感しました。

ワークを終えてレクチャーに戻り、実際に仕事の現場でkintoneがどのように活用されているかについて。龍太氏は、「紙やExcelで行っている業務を集約することができる」と話します。
例えば、デジタル化によりハンコをなくそうという現在の流れについては、承認の様式を作り、押印の代わりのワークフローを作ることで対応できます。社外からもアクセスできるので、「会社に戻って押印する」必要がなくなります。
情報や書類を共有することで、誰かからもらったり探しに行ったりする手間がなくなり、報告をまとめる作業も楽にできます。

龍太氏からは、「データを扱うエンジニアというよりも、何のためにデータを使うかというロジックを考えることが、みなさんに活躍してほしい領域です」とのお話があり、併せていくつかの事例の紹介がありました。

【kintoneの導入事例】

◆NKアグリ(和歌山県)

温度や湿度など栽培環境のデータを活用して野菜の生育を予測し、いつ、どれくらいの状況で、どれくらいの量を出荷できるかを、生産者と販売者が共有する。2週間先の出荷量を量販店に伝えることで、受け入れ態勢ができる。4年間で生産量が1.3倍になり、一般農家の5~8倍の価格で販売できた。

◆新型コロナウイルス対策本部(神奈川県)

どの病院にどのような患者さんが何人いるか、各病院の新型コロナ患者の状況を共有。2月~3月に活用された。

◆ワインツーリズムやまなし(山梨県)

毎年実施しているイベントの参加者について、旅行会社、イベントプロデューサー、ワイナリーなどが情報を共有し、観光のマーケティングに活用。どんな客が来るのかを事前に把握し共有することで、客層に合ったイベントやサービスを考えることができる。

◆医療法人 ゆうの会(愛媛県)

人生の最期をどのように終えたいかという本人の意志を、看護・介護にかかわるすべての人に共有し、幸せな最期を過ごせるしくみづくりに活用。地域の医療と介護を一体運用し、チームとして人の一生を支える包括ケアシステムを構築している。

【アプリの使い方事例】

◆二条里づくりの会(島根県益田市)

町内の鳥獣被害に悩む人々が、どこでどんな動物が出現したかをアプリで共有。各自、日々の目撃情報を入力し、マッピングする。地図に基づいてわなをしかけるうちに、動物の出現が減り、鳥獣被害も減少した。

◆真砂の食と農を守る会(島根県)

地元のおばあちゃんたちが自家用に作っている野菜の余剰分を、地元の保育園の給食に活用するためのマッチングに活用。個々のおばあちゃんから集荷した野菜の種類や数量、保育園が要望する野菜の種類や数量を共有する。長期で見ると、いつ頃どの野菜が余っているかがわかり、需要と供給の状況を把握できることから、献立の立案にも役立てることができる。

龍太氏からは、「kintoneは、企業だけでなく『地域をチームにする』というキーワードにも使われていることを、頭の片隅に置いてほしい」とお話がありました。

講座は、10分を残すところとなり、本日のまとめに。
「kintoneは誰でも簡単に使え、地域や企業のチームワークを醸成・強化し、自由なアイデアにつながる有効なツール。プログラミングは必要なく、まさに人文系の人のためのツールだと思うので、社会課題解決のために役立ててほしい」と話しました。

そして最後は、「これからITはどうなるのか。プログラミングそのものはコンピュータがやってくれる時代がきます。大切なのは、そのデータをどう活用するか、どのように構造化していくか、業務や行動を物語にする力で、それは文系の人の方が強いのではないかと思います。データに『解釈』を加えるのが人間。それをみなさんが育んでいただければと思います」と締めくくり、90分間の講座を終えました。

終了後、受講生に実施したアンケ―トには、次のような感想が寄せられました。

・プログラムがわからなくてもアプリが作成できるとてもよいツールなので、サークルで使ってみたい。

・アルバイト先の居酒屋に導入すれば、大幅な業務の効率化、データに基づいた合理的な営業な可能になるのではないか。

・文系が軽視される時代、文系らしく活躍できる道があることを学べてよかった。

・kitone一つですべての情報管理・共有、データの表示が可能。非常に便利。

・シンプルだからこそ適応できる分野や用途が広い。

・「文系の活躍する場は、物語を作る部分にあるかもしれない」という話はとても興味深い。

・新たな働き方について考えさせられた。

・苦手・得意がはっきりする分野における便利ツールは、どんどん導入されていくべき。自分もそれを知って、活用しないともったいないと思う。

・課題発見力が問われる貴重な授業だった。デジタルを上手く使いこなし、共存していく在り方を見つけるよいきっかけになった。

「今日の講座で学びは?」という問いに対して、回答のあった学生のうち約2/3が「たくさんあった」と答え、その他の人が「あった」と答えました。苦手意識があり遠ざけがちだったITに対して、垣根が低くなり、新たなチャレンジをしてみる勇気とパワーが湧いたようです。