高知県IT・コンテンツアカデミー

高知県Society5.0関連人材育成講座 第1回講座 「最先端のテクノロジートレンドを学ぶ」を開催しました

time 2020/08/19

高知県Society5.0関連人材育成講座 第1回講座 「最先端のテクノロジートレンドを学ぶ」を開催しました

高知県Society5.0関連人材育成講座では、最先端のデジタル技術に興味・関心のある人々が、自主的に学び知識や技術を伸ばせる機会として、ソーシャル経済メディア「NewsPicks」と提携した高知県限定のオンラインコミュニティの運営及びオンライン学習動画の配信に加えて、全10回の集合型講座を開催します。

第1回目の講座は、立教大学ビジネススクール教授であり、上場企業取締役、経営コンサルタントとしてもご活躍の田中道昭氏による講座「最先端のテクノロジーを学ぶ」。8月1日にオーテピア高知図書館で開催され、会社員、事業主、自治体職員、学生など55人が参加しました。

司会・進行を務めるのは、本講座を運営する株式会社アルファドライブ高知の代表取締役社長、宇都宮竜司氏。最初に、近くに座った人同士が自己紹介や受講の動機などを話し合う「チェックイン」を行った後、田中氏が登壇しました。

朝早く、高知城に上ってきたという田中氏は、「東京からこのタイミングで高知に来ると、ここは板垣退助先生、坂本龍馬先生を輩出した極めて特殊な土地であることを再認識します。300年に一度のことが起こっている今こそ、高知に生まれ育った人の使命は大きい。閉塞感の大きい東京ではなく、高知から何かを始めるべきです」と話し、「今日の70分は、そのきっかけとなるような、大きなインパクトのあるものにしたい」と、熱い思いの中でスタートしました。

「最先端のテクノロジートレンドを学ぶ」

(以下、抜粋)

1.今、起きていること

新型コロナの感染拡大が続き、世の中は分断が求められています。いろいろな所で差別が起き、ビジネスでは倒産が激増しています。今、我々一人一人の行動の「シンカ」が重視されており、すべての人と企業の真の価値(真価)が問われ、進化が求められています。

2.アフターコロナに求められるもの

現状のポジションを把握し、今後の方向性を合理的に予測して、大局的な戦略と局地的な戦術を構築することが必要です。
Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の面から分析すると、最も注目すべきは米中新冷戦です。とても厳しい状況になってきています。テクノロジーの覇権においては、中国の方が優れている分野が増えてきており、11月の大統領選に向けて戦いが激化すると思われます。

今、誰も経験したことのない未知のことが起きており、自然の法則に従わざるを得ない状況です。複雑な環境に対応するには多様性を受け入れることが重要であり、組織が生き残るための新しい競争には、環境変化の方向と度合いを事前に見通す能力、経営活動の方向性を示す意思決定の速さ、決定されたことの実行の速さが求められています。

このコロナショックは、地球と人類の歴史の中で本質的な変化を加速させ、旧いもので成果が上げられなかった体制は淘汰されます。そして、成果を上げて支持された体制が台頭し、新たな覇権を握る。すでに、どういった人、組織、国家が覇権を握るのか、おぼろげながら見えてきている状況です。

3.最先端のテクノロジートレンド

今年1月、毎年ラスベガスで行われている世界で最も影響力のあるテクノロジーショー「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)2020」に行ってきました。そこで最も関心を集めていたのは、「データの利活用」と「プライバシー重視」の両立です。GAFAの中では、Appleがユーザーのデータを取得しないようにする「データミニマイゼーション」に最も力を入れていて、プライバシー重視の機運が高まっています。日本はどちらも周回遅れです。

インパクトが大きかったのはトヨタの展示です。そもそも、GAFAと日本はビジネスの仕方が違っていて、GAFAは大胆なビジョンを掲げて、そこからどんなテクノロジーが必要かを逆算し、実現していきますが、日本は自分たちが持っているテクノロジーで何ができるかを考えます。しかし、今回トヨタは「街を作る」という最大規模の大胆なビジョンを描いて提示していました。これは坂本龍馬先生や板垣退助先生に通ずるところがあります。あなたがテクノロジーを開発する必要はなく、重要なのはいかに大胆なビジョンを掲げるかということです。

Amazonの展示にも衝撃を受けました。昨年9月には2040年までにCO2排出量をゼロにすると発表しており、リビアンという新興EVメーカーのトラックを展示していました。これを10万台導入するそうです。今やサステナビリティーは地球環境問題であり、SDGsは価値観です。人の意思や価値観が消費行動を決めるようになってきていますから、Amazonのこの取り組みはとても重要です。

今後は、CASE(ケース)の概念が重要になってきます。CはConnected、AはAutonomous、SはSharad&Services、EはElectricで、すべての事業者にとって必要な概念です。最近テスラが注目を集めていますが、もともと自動車メーカーではありません。人類を救済することをコンセプトとして、クリーンエネルギーのエコシステムを構築するためのテクノロジー企業として事業を行っています。太陽光発電でエネルギーを作り、蓄電池に蓄え、EV車で使うという、三位一体の事業です。評価されるものが変わり始めています。

今後、WithコロナからAfterコロナへのシフトに伴って、テクノロジーのトレンドはオンライン化→AR/VR化→アンビエント化と進化します。アンビエントとは、機器がなくてもコンピューティングのサービスが受けられるという概念です。

アメリカが最も重視しているものがCX(カスタマーエクスペリエンス)です。取引していることを感じさせない、スピーディーで自然な決済で、顧客は入口でコードをかざし、商品を手に取って立ち去るだけ。支払いしていることを感じさせません。Amazon GOですでに始まっています。

今年、マイクロソフトの4月~6月期決算は、+12%でした。在宅で仕事をする、授業を受けるということが増え、売上が増加しました。ナデラCEOは「この2カ月で2年分のデジタルトランスフォーメーションが進んだ」と発表し、「デジタルの能力を増強した組織は現在の危機からより早くより強くリカバリーすることができる」とも発言しています。マイクロソフトは業績が低迷した時期もありましたが、5年前にナデラCEOが着任してから売り上げが伸び、復活しました。その成功は、固定マインドセットから成長マインドセットへと、企業文化を変えたことにあります。大企業病を脱し、スタートアップ企業のような、謙虚でフレッシュ、スピーディーなカルチャーへと変化したのです。

成長マインドセットは、人にとっても組織にとっても重要なことです。デフォルトで成長マインドの人はいませんから、この瞬間から切り替えていただきたいです。

4.最後に

昨日、Amazonが過去最高益を達成しました。そのAmazonがこだわっているのは、「It’s still Day1」(今日がまだ初日)ということです。Day2(2日目)は死を意味します。Amazonは常にディスアグリ―&コミットであり、相手が誰であっても顧客中心主義に反することに対しては「違う」と言いなさい、みんなで決めたことにはコミットしなさいという企業風土があります。このスタートアップ企業のようなカルチャーが生命線です。

日本人はDay1へのこだわりを失い、初心や謙虚さを忘れかけています。テクノロジーの世界では、そして、あなた自身にとっても、毎日が初日だと思い、謙虚な気持ちで仕事をすることが大切です。

田中氏は、「数百年の一度の日々が訪れている今、この高知から、かつてそうだったように、日本や世界を変革するような大きな人物が輩出されることを期待しています」と重ねて言い、締めくくりました。

パネルディスカッション

注目すべきビジネス領域やテクノロジーについて知見を深めたところで、宇都宮氏がモデレーターとして登壇し、田中氏とパネルディスカッションを行いました。

宇都宮 新型コロナにより社会は大きく変化しています。田中先生ご自身、何か変わったことはありますか?

田中       すべてにおいてアップデートしました。大学は4月からオンライン授業になり、双方向の授業をするようにと指示がありました。私は、オンライン、ライブ、双方向にこだわった授業をしようと決めました。その結果、シカゴ大学のビジネススクールの水準を上回るような難易度のクラス運営になったと思います。学生にとっては相当ハードでしたが、エデュケーショナルバリューはとても高かったと思います。

宇都宮 オンラインだからこそ出せた価値とは?

田中       参加している生徒からすると、1対1の緊張感と、33人で学ぶピア・ラーニングが同時にあったことでしょう。課題にもこだわりました。課題を出して提出してもらい、それをチェックしてフィードバックすることで、みんな一生懸命やるし、私も生徒の理解度が掴めます。通常の授業の中では、全員に発表してもらうことは難しいですが、Zoomだと簡単なので、毎回発表してもらいました。33人の知を足すと、33ではなく200~300くらいのピア・ラーニングがありました。オンラインでやらなければいけない状況になれば、やるしかない。制約要因があればこそ、イノベーションが生まれます。

宇都宮  地方において、今こそ好機なのか、逆に危機感を持つべきか、どのようにお考えでしょうか?

田中       ここに人がいるのだから、東京から人や企業を呼ぶ必要はありません。高知の人をどう生かすか、高知の強みをどう生かすかに、120%フォーカスすべきです。できることがたくさんあります。今こそ、高知から価値を提供できる時です。

宇都宮  今日、この講演が終わってからすぐに始めるべきことは何でしょう?

田中       先ほどもお話ししましたが、各自目標を持つこと、想定ライバルを持つことです。あなたの年齢は何歳ですか?同い年で最も日本で活躍している人は誰ですか?最も収入を上げている人は誰ですか?世界で最も活躍している人は誰ですか?その人がライバルです。今日から目標をアップデートしてください。自分が切磋琢磨しないといけないと思ったら、寝ている暇はないし、場所は関係ありません。

宇都宮  ありがとうございました。

熱気のあるトークが終了し、次は参加者からの質問に応えていきます。

質疑応答

Q1.「取引していることを感じさせなくなる」というお話がありましたが、貨幣価値が変わってくることについてはどうお考えでしょうか?

A1.ボイスペイメントで、話しかけるだけで買い物ができる時代です。今後もそういうものが発達してくれば、貨幣に対して感覚的なものが変わってくる可能性もあると思います。

Q2.情報のインプットが大事だと思いますが、どんな方法をとればよいでしょうか?

A2.マーケティングでは差別化が重視されますが、その前に類似化があります。すべての業種において、No.1とNo.2を分けるのは、いかに類似化ポイントを徹底させているかという点です。類似化ポイントは、そのサービスや商品における「当たり前」のことです。情報戦略においても同じで、ビジネスパーソンにとって最も重要なのは日経新聞です。毎日きちんと読むべきです。それから自分の価値観と異なる価値観の一般紙と、地方紙を読むとよいでしょう。

Q3.Amazonの人たちが、毎日「Day1」の意識であるということですが、人々がそれまで積み上げてきたことや、それぞれの個性をどう生かしているのでしょうか?

A3.オフィスには「ダイバーシティ&インクルージョン」という言葉も貼ってありました。Amazonは多様性を重視している上、個性がはっきりしている会社です。日本の企業は真似しない方がいいと思いますが、ミッションをビジョンに変えるとはそういうものだと思います。

Q4.光回線の普及が4年後になる地域に暮らしています。デジタル化が進んでいる社会の中で、インターネットが当たり前ではない地域でのアップデートとは、どのようにすればよいでしょう?

A4.インターネットがなくてもできることはいろいろあると思います。新聞は届くでしょう。社会が情報過多になっている中、情報が少ない方が貪欲に吸収できるのではないでしょうか。その人の問題意識や使命感、危機感だと考えます。マインドセットの問題で、場所は関係なくなっていると思います。さらに高めていってほしいです。

質疑応答を終え田中氏は、「今日は強烈なお話をさせていただきました。高知のあなたたちから変革が生まれることに本当に期待しています」とコメントし、講座を終了しました。

講座は始まったばかり。来年3月までに9回の講座が予定されていて、準備が進んでいます。

貴重な機会に、受講生の期待も高まっています。

(参加者の感想)

◎CES2020の現状など、貴重なお話を聞くことができました。これからの世界が楽しみです。高知で何ができるか、真剣に考えてみたいと思います。

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